軽石とマイクロプラスチック問題


最近、日本の太平洋側南西海域で問題となっている軽石による船や沿岸域への影響に関して、盛んにメディアが放送しています。 確かに、船の運航や景観(観光)等の日常生活への影響は大きいと思います。
今回の軽石は、ご存じの通り海底火山の噴火で噴出した溶岩(火山灰)が海洋を漂っているものであり、無数の穴の存在のために表面積が大きくなり比重が軽くなり、水に浮いて漂っているせいで多大な影響があります。
メディアの論調を聞いても、「大変だけど、どうしようもない(風と潮の流れ次第)」との印象を受けます。 一方で、養殖魚や海亀が軽石のせいで死滅する例も報告されています。
さて、ここで素朴な疑問として軽石の影響とはマイクロプラスチックによる海洋汚染と何が違うのでしょうか?
マイクロプラスチック=人間の産業活動により製造され、海洋環境に(主に非意図的に)放出されて、長期間残留している
軽石=自然活動により海洋に放出されたもの
では、短期もしくは中長期的な影響はどうでしょうか?
マイクロプラスチック=分解しないので、環境中に放出されるとどんどん増加する。
POPs様物質(ダイオキシンやPCBs、DDT)の媒体として地球規模での汚染の拡大を起こす。
海洋生物が飲み込んで体内に残る。
プラスチックの使用は昨今の地球温暖化問題とカーボンニュートラルの風潮に反している。
マイクロではないが、プラスチックごみの漂着により景観を損なう。
回収・清掃・廃棄にコストとマンパワーを要する。
影響は世界レベル。
軽石=天然現象なので、防ぎようがない。
風化により自然に比重が大きくなり海底に沈むか、粒形が小さくなって船が生物への影響は少なくなる。
表面積の大きさ(細孔の多さ)から、様々な天然や人工物を取り込み長距離にわたって移動させる。
海洋生物が飲み込んで体内に残る。
建築資材等への利用は、塩分の影響で難しい(洗浄や粒形の調整にコストがかかる)。
特に観光地の海岸において景観を損なう(経済損失)。
回収・清掃・廃棄にコストとマンパワーを要する。
影響は海流と風の影響により大きく異なるが、湾岸奥においては長期にわたる場合がある。
さて、いかがでしょうか?
軽石対策としては、流れ着いた漁港等で物理的に回収するしかないようですが、時間とともに影響はほとんどなくなることが期待されています。
マイクロプラスチックに関しても対策は同じであるかもしれません。
発生源が人為的であるか自然由来であることを除くと、影響はその濃度・密度に依存すると思いますが、本質的な本題とその対策は同じであるかもしれません。
流れに身を任すのか(流れに竿さす)のか、抗うのか、、、温暖化問題も同じかもしれません。
CO2排出ゼロ!! 息しても良いですか?
2021年11月15日 09:21